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Saturday, October 23, 2004

岩明均に、またやられました。

 東京・銀座の数寄屋橋交差点から、丸の内線に乗るべく階段を地下へとおりていくと、微妙に鼻をくすぐる香りを撒き散らすカレー&回転すし屋(いつみても怪しい組み合わせだな…)の先に、山下書店という小さな本屋があります。
 雑誌のほか新刊書を中心に置いてある店ですが、そこで昨日(10月22日)、これを見つけました。

 岩明均・著『ヒストリエ』(講談社)。

pics/historie

 むむむ、岩明均! (以下敬称略)
  「風子のいる店」からのファンですので、ほとんど条件反射的に即購入。
 ううー、相変わらずの切れ味。冴え。濃さ。つーかグロ。
 一気にのめり込みました。
 (そういう本についてしか書かないんだけどね)

 +  +  +
 
 連載誌は講談社の『月刊アフタヌーン』です。

 ~~~

 時代は紀元前4世紀。舞台は小アジア、そしてギリシア。
 マケドニアから出てきたアレクサンドロス大王がインドにまで広がる大版図を築くころの物語だ。
 主人公は、物語の冒頭で大哲人アリストテレスがペルシア軍の追っ手から逃れる途中に出遭った才気あふれる少年。

 名はエウメネス。

 黒い髪、奴隷のなりをしたエウメネスが故郷のカルディアに帰ると、街は大軍に囲まれていた。
 機知によってその包囲をくぐり抜け、たどり着いた故郷で、彼は自分の人生を振り返る。

 裕福な家庭で育ったエウメネスはある時、買われたばかりで虐待されていた一人のスキタイ人奴隷、トラクスに会う。
 苛烈な暴力を振るわれて“調教”されていたトラクスだが、ある日、手かせ足かせをはずされると人間離れした剣技で、街からの脱出を図ってその主人や街の人々を次々と殺害する。
 エウメネスはその様子になぜか見とれ、同時に子供のころから何度も見ていた、ある夢――女が舞うような剣技で次々とオトコを斃し、最後に殺される――の情景を今更ながらに思い出す。
 その後エウメネスは、ある広場で追っ手から逃れる途中で負傷したトラクスが、はらわたをあふれさせ野垂れ死に寸前の様子をみつける。
 もう虫の息だと悟り、家に帰って父親の家来ヘカタイオスにそれを報告したエウメネス。
 だが、その夜、庭で父親が殺害されているのを見る。その場にいたのは、ヘカタイオスらのほか、別な場所で死に掛けていたはずのトラクスが。
 瀕死のトラクスが父を殺せたはずはないとヘカタイオスを疑い、町の査問会で徹底調査を要求するエウメネスだが、その場でヘカタイオスに自分の知らない過去について明かされ、大地が崩れたような激しい衝撃を受ける――。

 ~~~

 エウメネスは、この時代にアレクサンドロス大王の側近で、書記官として大戦の数々を記録し、『王宮日誌』(英文では“The Royal Diaries”)を著し遺した、歴史上の人物だそうです。
 (思いっきりググって調べました)
 知性だけでなく軍略的な機知と智謀にも長けていたエウメネスは、アレクサンドロス大王の死後を継いだペルディッカスによって、内部分裂を起こした大帝国の反乱分子を鎮圧するための将軍に任命されました。
 歴史の記録者だったエウメネスは、岩明の言葉を借りると「途端に記録者は『記録される側』となり、歴史の舞台にその姿を見せた」ということで、今後の展開に非常に興味をそそられます。
 
 『エウメネス』はこれから、主人公の少年時代だけを物語として展開していくのでしょうか、それとも成長して大国の興亡に影響を与えた人物の活躍譚として大河的発展を遂げるのでしょうか。
 個人的には、後者に期待します。
 なんたって、歴史モノのストーリーテリングでは、ピカイチですからね。岩明氏!!
 「やられたー!」という快感を、またいただきました。

 1巻、2巻を22日に同時発売したのは、ここまで一気に読んだ方が以後に続くであろう壮大なストーリーを理解するのに不可欠だからでしょうね。
 
 “買い”です! 本屋まで走れー!

 ……またまた掲載・続刊が待ち遠しいマンガが出てきて、嬉しいなぁ~♪

 ※各方面に勝手ながらトラックバックさせていただきました。御免!


 速報! 『ヒストリエ 3巻』 11月22日発売だそうです。(2005年10月28日追記)


 『ヒストリエ3』、読みました。連載中も読んでいたので流れは分かっていましたが、改めてまとめて読むと満足感の大きい第3巻ですね。
 「おまえの最後も…… 不自然なものじゃなきゃいいよな、ヘカタイオス」
 「よくもぼくをォ!! だましたなァ!!」
 ……歴史に彩りを与える作品は、台詞もなかなかシビレます。
 3巻の続きは、月刊アフタヌーンの2006年1月号から読めます。まだアフタヌーンで連載を読んでいない人は、3巻を読み終わった今が連載にキャッチアップするチャンスです。(2005年12月3日追記)

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コメント

ああ、これまたたまらなく読みたいぃ。
ご紹介をありがとうございます。

寄生獣以降も衰え知れずなんですね。
(七夕の国も好きでした)

投稿者: KM (Oct 25, 2004 3:50:11 AM)

KMさん、 
 いやー、食いつきを待ってましたよ~♪
 『七夕の国』も、一部からは尻すぼみだったとの批判もあるようですが(ま、実際にもっと読みたくはあった)、印象に残る作品で、amanも好きでした。
 連載、ずっと読んでました。途中、間が空いたりしましたけどね。
 『ヒストリエ』は、先が楽しみな作品です。
 ただ、『バガボンド』並みに歩み(話の進行)が遅い気もしますが。。。

投稿者: aman (Oct 25, 2004 12:02:57 PM)

トラックバックありがとうございます。
吉兆と申します。

個人的には「ヒストリエ」はじっくり腰を落ち着けて進めて欲しいですね。
すぐに終わらせてしまうのがあまりに勿体ないなあ、という読者のわがままですけど。

「雪の峠・剣の舞」がけっこう好きです。
岩明均氏は、キャラクターを書くことよりも「事件」や「出来事」を描くのが凄く上手い作家だと思うのですが、この短編集にはそれが良く現れていると思います。

投稿者: 吉兆 (Oct 25, 2004 10:09:04 PM)

吉兆さん、いらっしゃいませ!
 勝手にTBしてしまいすみません~。
 ブログ拝見し、ずいぶんたくさんの新刊をお読みになる(というかお買いになる?)んだなと、驚きました。
 マンガでは、「蟲師」に興味がありますね。
 私の「読んでみたいマンガ」リストの上位にあります。
 買いですか?
 
 「雪の峠・剣の舞」は、連載時に読んだっきり。
 コミックスを探してみようかな。
 「事件」の、なんというか、表面的な描写と登場人物の内面的な思いというか葛藤というか、それを上手く描きますよね。
 確かに。

投稿者: aman (Oct 26, 2004 3:08:55 AM)

ああ~…どうもお恥ずかしい…。

備忘録として本の購入記録をつけながら、本の感想日記を書いていくブログにしようと思っていたら、自分の購入量を把握しておらず、購入記録がメインになってしまいました…。
本末転倒とはまさにこの事ですな…。

「蟲師」は僕のお気に入りです。
多少贔屓目は入っているとは思いますが、幻想とかファンタジーが好きな方は是非!読んでいただきたいですね。

投稿者: 吉兆 (Oct 26, 2004 11:46:56 PM)

吉兆さん、どもです!
 漆原友紀(「蟲師」作者、字はあってますよね?)さんの小編作品集が打っているのを本屋できょう見かけました。
 これも興味ありです。面白そう。
 幻想・ファンタジー系は好きなんですよ。
 大人買いするかな? 

投稿者: aman (Oct 27, 2004 2:37:49 AM)

amanさん、こんばんは。
「ヒストリエ」、未読のままですー。
近隣の書店は全滅で売り切れ。
はううう、マンガ通の居住者多しで、
F市、なかなかやるなあです。。。

投稿者: KM (Oct 27, 2004 11:25:37 PM)

KMさん、
 もう入手できたでしょうか?
 都心ではけっこう見かけますけれども。
 恐るべしF市。マンガ喫茶とかも多いイメージがありますが、間違いでしょうか?
 ……あまり行ったことないんですけれど。。
 こちらはプルートウの豪華版を買って、つくづく二人の才能にやられています。

投稿者: aman (Oct 30, 2004 3:20:03 PM)

KM@風邪引いて轟沈中。。

「ヒストリエ」、マンガ喫茶で読んではいけない予感に、
来週都心に出るのでその時GETをと画策中です。
あううう、プルート豪華版、、、いいなああ。ヨダレ。
「恋風」最終回が不完全燃焼で不満。
今は「昭和の男」に燃えてるのですが、
ついにページが雑誌巻末に移ってしまい。
連載続行を神に祈る毎日です。。。

投稿者: KM (Oct 31, 2004 1:05:49 AM)

KMさん、
 お風邪ですか、大丈夫? 快方に向かっていますか?
 「恋風」の不完全燃焼のせいで風邪??
 「昭和の男」はたしかに尻すぼみ感(連載的に)が漂いつつありますね。
 最近はなぜか会社においてあった「ごくせん」にはまりつつあります。。
 早く治してヒストリエ読んでくださいね!
 (そういえば、まだアフタヌーンでの続きを読んでないなぁ)

投稿者: aman (Nov 1, 2004 11:49:13 PM)

 こんにちは。
 当ブログにトラバ&コメントありがとうございます。
「ヒストリエ」おもしろいですね。

 お恥ずかしながら、岩明氏の作品できちんと最後まで読んでいるのは、「ヘウレーカ」くらいなので、まずは「雪の峠・剣の舞」を取り寄せ中(笑)です。

 では、また。

投稿者: そえ (Nov 9, 2004 6:27:09 AM)

そえさん、いらっしゃいませ!
 こちらこそTB&コメントありがとうございます。
 「雪の峠…」はコミックスになっているんですね。
 わたくしは連載中に読みました。いつかまとめて読みたいと思っていたので、amazonで発注しようかな。
 今は鶴見祐輔訳の「プルターク英雄伝」、エウメネスに関するお話が載っているらしい5巻を探し求めております。。
 今後ともよろしくお願いいたします。

投稿者: aman (Nov 11, 2004 8:08:00 AM)

やっと読みました!!堪能です!(^^)
岩明均、やっぱりスゴイ。生きる張り合いがまたできました。
トラクスの涙とその次の展開に、、うおおおお。
鳥肌立った。くそう、続きが早く読みたい。。。
(対照的な「昭和の男」の今週号の展開にも興奮。
どっちの作品も自分好み。間口広すぎかな)

投稿者: 栗丸 (Nov 19, 2004 4:20:28 AM)

栗丸さん、こんちは。
 やっぱり、好きだと思いました。こういうの。
 「昭和の男」とは、確かにある意味で対照的なんでしょうけど、どちらも「筋通したがり」つながり(?)かも。
 「キマイラ」が打ち切り状態(ちがうかな?)になっちゃって、ちょっと残念に思っています。あのまま星野がディクテーターになっていく一方で、3人仲間たちに倒される展開が読んでみたかった気も。。

投稿者: aman (Nov 20, 2004 2:24:59 PM)

はじめまして☆
TBさせて頂きました。
詳細な説明に感服致しました!
早く続きが読みたくなる作品ですよね♪

投稿者: はじとみ (Nov 21, 2004 1:00:16 PM)

はじとみさん、はじめまして。いらっしゃいませ!
 TBありがとうございます♪ こちらからもご返礼させていただきました。
 もうすぐアフタヌーン発売日(たしか25日)です。ヒストリエ、今出ている12月号が第20話で、単行本2巻の最後に続く話なんで、すぐにキャッチアップできるんですよ。なので、なんともアフタ発売日が待ち遠しくなってしまいました。 
 ちなみに25日はKissの発売日でもあり……『のだめカンタービレ』も読まねばならないアタシです(真澄ちゃん?)。
 ムム、ひょっとしてオレは講談社の術中にはまっているのかーー?
 ……いあ、取り乱してすみません。
 半蔀っていいですね。源氏物語「夕顔」でしたっけ? あ、能ですか。品があるお名前ですね。
 今後ともよろしくお願いします。

投稿者: aman (Nov 21, 2004 6:12:20 PM)

amanさん、ナイスな情報ありがとうございます♪
実は、私は掲載誌でリアルタイムに読んでいなかったのですが…そうですか、今なら即繋がって読めちゃうんですね?””
うあ~…どうしよう””また購読誌が増えちゃうかも(笑)
HNに関するお褒めの言葉も本当にありがとうございます””
「夕顔」との関連を指摘されたのは初めてです。
amanさんの知性の深さに感服します☆
実をいうと、長年この名(PNとして)を用いながら、私自身が「夕顔」との関連を知ったのは、恥ずかしながら、ごく最近のことだったりしますw
出身地の香川県で実際にある名字で(いえ、もちろん私の本名ではありませんが)、昔、古文の先生に、半蔀が何かということと、その名が実際にあることを教えられたのを機に、使っていたのでした””
今更ながら、身に余る名を用いてしまったなぁ…と思っている次第です(苦笑)

投稿者: はじとみ (Nov 22, 2004 10:07:45 AM)

はじとみさん、
 そうなんですよー、買わねばならない雑誌が増えて大変なんですよ~。
 でも、「ヒストリエ」は買って読んでしまいそう。
 どう踏ん張るか・・・?
 
 半蔀さんって、香川には姓であるんですね。へーぇ。
 いや、私も書いたことくらいしか知りません。
 「どっかで読んだな」くらい。
 源氏は「あさきゆめみし」で入っていったクチで・・・てなもんですので。
 蔀戸を開けて押し入っていく…というのは、うーん、男のロマンですなぁ。
 (知性もなんもないオヤジですみません)

投稿者: aman (Nov 22, 2004 10:59:28 PM)

>amanさん
> もうすぐアフタヌーン発売日(たしか25日)です。ヒストリエ、今出ている12月号が第20話で、単行本2巻の最後に続く話なんで、すぐにキャッチアップできるんですよ。

キャッチアップ、間に合いました。マンガ喫茶でアフタヌーン読了。もうすぐ来月号で楽しみ倍増。ついでに寄生獣最終巻も読み直し。あらこういう終わり方だったんだ。(けっこう忘れているものですね。七夕の国も読み直すぞー)

投稿者: 栗丸 (Nov 23, 2004 11:00:33 PM)

栗丸さん、こんばんはー!
 いよいよ明日ですねぇ。
 深夜のコンビニに行けば、夜明け前に売ってたりしますよね。
 きょうも遅くなりそう。なので、帰りのコンビニが楽しみです。

投稿者: aman (Nov 24, 2004 9:02:03 PM)

初めまして、30歳男です。
僕の近くにはアフタヌーン置いてる店が無いんですよー。
だからヒストリエは、3巻が出るのを楽しみにしています。
話は変わりますが、みなさんにとっての、寄生獣の名場面ベスト1はどこですか?
僕はやっぱり、2度目の後藤との戦いで、ミギーが新一を逃がす所ですね。

投稿者: エドベリ (May 11, 2005 11:05:50 PM)

>エドペリさん、いらっしゃいませ!
 お返事が遅くなりすみませんでした。
 
 リクエストを受け、改めて『寄生獣』を読み返しました。「アフタヌーンKCDX完全版」を買い揃えてしまいました。
 右ー(あ、単純に変換したらこうなった^_^;)、いやミギー、いいですよね。シンイチとだんだんよいコンビになっていくのは楽しく感じます。田宮玲子の最後にもグッと来るかんじもあります。 
 寄生生物たちの成長譚(?)が、読ませどころのひとつですよね。
 新一が寄生されてしまった母親を手にかけようとしたところ、やけどを見てとまるところ、宇田さんが「助け」て、「やはり君がやっちゃいけないよ」というところなども見せ場だと思います。
 ああ、やはりいいなぁ、岩明均。
 『ヒストリエ』もだいぶ話が進みました。3巻ももうじきかもしれませんね。

投稿者: aman (May 18, 2005 7:59:51 PM)

田村玲子の最後もいいですね~。
あとは最終話なんかも。
やっぱり「寄生獣」は、僕の中ではベスト1に入る作品ですね(^^)。

投稿者: エドベリ (May 20, 2005 8:07:53 PM)

「寄生獣」ハリウッドで映画化バンザイ!

投稿者: エドベリ (Aug 5, 2005 10:28:27 PM)

エドペリさん、こんばんは。
 お返事が遅くて大変申し訳ございません。。。 映画、どうなるのでしょうか。楽しみです。
 コミックって、やはり英語に訳されているんですね。
 『Parasyte』+『Iwaaki』でググると、出てきますね。
 あの世界を、うん、もっと世界に共感して欲しいですね。

投稿者: aman (Oct 25, 2005 12:00:25 AM)

はじめましてナマケモノです。
TBありがとうございます~
いやぁヒストリエ面白いですね。早く10巻まで読みたいもんです。(まだ3巻も出ていませんが・・・)もう悶絶ですw
あ、蟲師もお薦めですよ~
さてお礼のTB、TBと・・・ん?やり方がいまいち把握できてない・・・すみません、ちょっと遅れてTBしまっす。

投稿者: ナマケモノ (Oct 29, 2005 1:04:20 PM)

ナマケモノさん、いらっしゃいませ!!
 勝手なるTBにも関わりませず、コメントいただきまして、ありがとうございます。
 『蟲師』も気になっている作品ではありますが、残念ながら未読です。まとまった時間が取れたら読もうと狙ってます。
 アフタヌーンの掲載で、ヒストリエのほかに最近は待っているのが『俺と悪魔のブルース』と、『大きく振りかぶって』。「俺と悪魔~」は先日単行本2巻目が出ましたが、続きもいやはや目が離せません。これはオススメです。
 『大振り』も作者が本当に高校野球好きなのが伝わってきて、しかも見方が細かくて、梶原イッキ的な汗臭さ漂うスポコンに終始していない点が素晴しい作品です。
 ヒストリエは、このペースだと1巻あたり1年のペースですね。。。10巻だと10年。ぎゃぼ。
 でも長く長く続けて、描き切って欲しいと切に願ってしまう作品です。

投稿者: aman (Oct 29, 2005 2:48:01 PM)